公共政策研究
Online ISSN : 2434-5180
Print ISSN : 2186-5868
特集フクシマ以降の原子力政策
原子力技術のガバナンスと民主的制度の効用
堀尾 正靱
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2014 年 14 巻 p. 24-36

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抄録

「技術の本質」の規定と現代科学技術社会における「適正技術概念」の重要性,および「社会技術」についての議論に基づいて,技術に関する民主主義は,単なる利害関係者の意見の調整や多数決による意思決定といった通常の意味ではなく,技術システムに関する社会的な認識過程として,また,具体的なシステム制御の過程としての意味を持つことを示し,原子力発電のように,すべてのレベルの従業員等の協力なしには細部の状況を監視しきることも大変な,巨大で複雑な設備のマネジメントにおいては,民主的なプラットフォームの構築こそがリスク回避の重要なメカニズムとなることを示す。その上で,原子力技術のガバナンスにおいては国民と地域の力を伸ばすことが重要であること,科学者や専門家だけに過大な期待をしないこと,独立性のある参加型の公共的プラットフォーム構築が望まれること,ガバナンスを国際戦略として設計すべきこと,を述べる。

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© 2014 日本公共政策学会
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