2019 年 18 巻 p. 66-74
現在,自治体行政において福祉分野は,大きなウエイトを占めており,これらの裁量権はかなり都道府県や市町村に委ねられてきた。しかし,未だ国のルールに縛られている部分も事実である。その要因としては財源構成にもあるとも考えられ,全て自治体の自主財源で運営されているわけではないため,一定の「国」の関与は避けられない。
昨今,「地方分権」が叫ばれる中,これらの一定の推進は進められるべきであるが,医療や介護等といった福祉政策においては中央集権的な国の関与は認められるべきと本稿では述べていきたい。なぜなら「普遍性」「公平性」といつた理念が重要視され,どこの地域においても一定のサービス水準が担保されなければならないからである。本稿では,自治体福祉施策における,地方分権のあり方の方向性を考察していくものである。