公共政策研究
Online ISSN : 2434-5180
Print ISSN : 2186-5868
特集 公共政策とトラスト
特集テーマ「公共政策とトラスト ―国際的及び国内的課題―」
宮脇 昇
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2019 年 19 巻 p. 14-21

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抄録

公共政策過程の実施主体は,実施対象からの信頼を獲得することが望ましい。しかし,主体に対する,あるいは主体間の信頼は,アプリオリに存在するわけではない。なぜなら立案主体,決定過程の参加主体と決定主体,実施主体それぞれの意思や調整をめぐる情報は,明示的なものであれ,黙示的なものであれ,完備情報化・完全情報化されないためである。さらに国際公共政策は,主権国家による外交政策決定過程を交えるため,一層のこと不完備・不完全情報の社会を対象にする。本稿ではトラスト(信頼)の先行研究を瞥見し,決定過程の完備情報・完全情報化を1つの理念型として想定する。その後,主体別(国内・国際)にトラストの構図を整理したうえで,完備情報社会に抗う複雑性・専門性と完全情報社会を浸食する時限性の要素を抽出し,国際・国内公共政策の決定過程におけるトラストのあり方について最後に提示する。

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© 2019 日本公共政策学会
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