公共政策研究
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ストリートレベル官僚制の管理手法―児童虐待防止行政を事例として―
鈴木 潔
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2019 年 19 巻 p. 78-89

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抄録

本稿では,児童虐待防止行政の質的研究を通じて,自治体の幹部職員(本庁管理部門および出先機関の幹部職員)が,ストリートレベル官僚制を管理するために用いる手法を検討した。その結果,児童相談所幹部と第一線職員の間には,ケースワークの専門性を基盤とする一定の協力・信頼関係が醸成されていることが明らかになった。また,生活保護行政で観察された官僚制的な管理手法に加えて,児童虐待防止行政では,ケースカンファレンスやスーパービジョンに基づく専門職的な管理手法が用いられることを見出した。ケースカンファレンスとスーパービジョンは,上司と部下の命令服従関係に依らずに,第一線職員の裁量を統制するための手法であり,人材育成とも結びついていることに特徴がある。さらに,第一線職員経験者を本庁福祉主管課に配置することは,本庁と出先機関との情報の非対称性を是正し,両者の葛󠄀藤や対立を回避しやすくすることを指摘した。福祉,保健,医療などのヒューマン・サービス分野では,程度の差はあれ,ケースカンファレンスやスーパービジョンが導入されていることから,本稿で指摘した専門職的な管理手法は,ストリートレベル官僚制を管理するための標準的な手法の1つと考えられる。

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© 2019 日本公共政策学会
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