公共政策研究
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論文
地域政策におけるパートナーシップとNPO――欧州地域政策(European Regional Policy)を題材にして――
宮永 健太郎
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2003 年 3 巻 p. 118-129

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抄録

本稿の課題は,欧州地域政策(European Regional Policy)ならびにそこで適用されているパートナーシップ原則を題材として「地域政策におけるパートナーシップとNPO」という観点から,地域政策における論点と求められている課題を整理し提示することである。その結果,以下の3点を論点として抽出した。第1に,欧州地域政策を改革する中で発展してきたパートナーシッブ。原則というものが,EUの政治・経済・社会といったあらゆる側面での統合に対応する形で出てきた言わば一種のガバナンスシステムだったという点である。これは,一般的にパートナーシップというものが,政策「主体」の変化というよりもむしろ政策「構造」の変化の体現とでも表現すべきものであることを示している。第2に,政策の目的や政策の段階ごとに,パートナーシップは様々な形態をとりうるという点である。これは,NPOとのパートナーシッブ。に関する制度設計は,そもそもの政策の目的や政策の段階の建て方の問題とセッ卜にして考えるべきものであることを示している。最後の第3に,NPOとのパートナーシップは,地方分権という文脈に担保され,地方政府が十分な能力を持っているような場合に上手く機能する場合が多いという点、である。つまり,政策当該地域の政府が,NPOを含む各パー卜ナーが政策にコミットできる実質的なチャネルとして機能できるかどうかが鍵になると考えられる。

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© 2003 日本公共政策学会
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