2003 年 3 巻 p. 12-21
近年,情報公開や行政評価など「政策の透明性」を促進することをめざす制度が整備されてきている。本論文では,主として経済学の分析手法を用いて,政策の透明性を増すことがどのような効果をもたらすかを検討する。
結論を要約すれば,政策の透明性を増すことには,効率性増加をはじめ,いくらかの望ましい効果をもたらすことを期待できるが,他方,政治に働きかけるための資源を多く持つ人をそうではない人よりも相対的に有利にすることによって,有権者間の公平性について望ましくない効果をもたらす可能性がある。後者の効果を回避できるか否かは,主として政治的資源をそれほど持たない一般有権者が,政策決定過程へどれほど参加できるようになるかにかかっている。