Phenomena in Nursing
Online ISSN : 2432-1958
Print ISSN : 2432-4914
東日本大震災以降の災害時期別における看護活動
西川 愛海 藤田 さやか稲垣 真梨奈松尾 香織宮前 繁村田 美穂
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2018 年 2 巻 1 号 p. G1-G15

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抄録

【目的】 本調査の目的は,文献検討により東日本大震災以降の看護職の災害対応や備えに対する活動を時期別に明らかにすることである。 【方法】 医中誌web Ver5.を用いて,2011年から2016年に発表された看護文献を対象に,「活動or 支援or 備えand 災not 労災」(会議録を除く)を検索ワードとした。看護職による災害対応と備えの活動内容が具体的に記述されており,時期が読み取れるもの110件を本調査の対象とした。急性期・亜急性期・中長期・準備期の4つの時期に分類した後,時期毎に活動内容をラベル化し,サブテーマ,テーマ,大テーマへと統合した。 【結果】 対象文献は,2011年に発生した東日本大震災の活動報告がその8割以上を占め,そのうち福島原発事故に関するものについて書かれたものが2割あった。また,110文献から,急性期・亜急性期・中長期・準備期における看護活動として,388のサブテーマ,140のテーマ,8の大テーマを抽出することができた。その8つとは,「災害時要配慮者に対する支援」「放射線災害に対する支援」「保健医療マネジメント」「健康被害の予防」「安全な環境の提供」「日常生活支援」「医療提供」「人材育成」であった。 【結論】 本調査によって,災害時期別の多様な看護活動が明らかになり,加えて発災直後から中長期,準備期における継続的な看護の支援,それらの変化や特徴なども明らかになった。また,本調査で明らかになった8つの看護活動のうち,先行研究では述べられていなかった「災害時要配慮者に対する支援」と「放射線災害に対する支援」は,今回の調査の中で新たに体系化された重要な活動であり,支援やその体制について更なる検討を行い,実践活動や教育に反映させていくことが必要である。

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© 2018 公立大学法人兵庫県立大学
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