抄録
【目的】
看護実践の場における妊婦への支援を検討するために,妊娠期における「マイナートラブル」の概念を明確にすることである。
【方法】
Rodgersの概念分析のアプローチを用いた。データ収集は「医中誌Web(Ver. 5)」による,検索キーワード「マイナートラブル」とした18文献より分析した。
【結果】
属性は,[不快を伴う状態][妊娠週数に応じて変動する][出産への悪影響はない]を抽出した。先行要件は,妊娠による身体変化の自覚として[形態的変化][内分泌的変化],妊娠による影響を受ける変化として[生活環境の変化]を抽出した。さらに,帰結は,妊婦への影響となる[生活に困難を抱える][出産や育児に対する希望や喜びが抑制される][周囲の理解が得られない][苦痛の解消をあきらめて我慢する]を抽出した。
【結論】
妊娠期のマイナートラブルの概念は,「妊娠週数に応じて変動する不快を伴う状態であり,出産への悪影響がない妊婦の自覚的な現象」とした。妊娠期におけるマイナートラブルの概念分析により,妊婦への支援としては,マイナートラブルに関する知識提供,妊婦からの聞き取りにより不快を伴う状態の確認,妊婦への影響となる視点をもって関わることが必要と思われた。