Phenomena in Nursing
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看護小規模多機能型居宅介護の地域分布の実態把握
渡邊 里香 小野 博史芳賀 邦子真鍋 雅史粟村 健司撫養 真紀子新居 学中西 永子坂下 玲子
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2020 年 4 巻 1 号 p. O11-O19

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抄録

【背景】 高齢化率の進展に伴い,地域包括ケアシステムが推進されている。2012年より,複合型サービス(現在名称は,看護小規模多機能型居宅介護,以下看多機)が創設され,訪問看護・訪問介護,通所,宿泊を組み合わせて包括的な生活支援ができるサービスが展開されているが,全国規模での開設・運営状況の情報は明らかにされていない。 【目的】 全国の看多機に関する情報や人口動態に関する情報を用いて,看多機の運営状況や開設地域の特徴を明らかにすることである。 【方法】 「介護事業所・生活関連情報検索」のウェブサイトを用いて,2018年12月31日の時点で登録されている全看多機を対象とし施設属性,運営状況,従業員情報等を抽出した。また,同ウェブサイトから都道府県別の看多機数,小規模多機能型居宅介護数(以下,小多機数),訪問看護事業所数を抽出した。「国勢調査」等から都道府県別の高齢化率,人口密度,人口の情報を収集した。分析は度数分布・記述統計分析,スピアマンの相関係数を用いた相関分析とした。 【結果】 全国の看多機数は479であった。都道府県別の看多機数は平均10.19±10.51であった。市町村別でみると,1724の市町村のうち233(13.5%)に看多機が所在した。看多機数と有意な相関(相関係数ρ)を認めたのは,小多機数(.765),訪問看護事業所数(.747),人口(.703),人口密度(.513)が正の相関,高齢化率(-.442)が負の相関であった。 【考察】 地域別の看多機数には大きなばらつきがみられ,高齢者の割合の高い地域ではなく,人口の多い地域や人口の密集した地域に多く開設されていた。過疎地では職員確保やサービス供給コストが影響する可能性があると考えられる。今後,どの地域でも安定して看多機が運営され,拡大するためには,現在生じている運営課題を明らかにしていくことが重要であると考えられる。

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© 2020 公立大学法人兵庫県立大学
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