抄録
本論文は, 著者らが日本品質管理学会「商品企画研究会」の活動の一つとして行った調査研究報告である.本調査では日本の商品企画の現状把握, そしてその成功要因とそれにつながる方法論を分析し, さらに「商品企画七つ道具」の有効性についても検証する.結果として次のことが分かった.高い成功度を得るためには綿密な調査による市場ニーズの発見と, そのニーズを実現させるための技術開発力が必要である.さらに, 市場ニーズの発見を実践できる企画メンバーの能力とチームワークの良さが同時に必要である.そして商品への評価, 満足度と, その顧客属性の情報を自社で統計分析まで行い, それらの情報を活用することが必要である.しかし, 情報の活用が同程度の企業でも, 組織とシステム上の要因により成功度に違いが生じる.企画手法は併用利用することにより効果が発揮され, 成功度にも影響する.商品企画七つ道具は個々の手法としても有効であり, その併用利用が成功度を向上させる有効な方法論の一つである.