抄録
企業経営では,優れた情報システムの構築・運用による経営貢献への期待が高まっている.その情報システムの目的も効率化によるコスト削減から経営スピードの向上へ,さらに顧客満足度向上,コラボレーション実現など経営戦略と直結したものへと変化してきている.たとえば,部品デバイスなどの生産財を供給するデバイスメーカーにとっては,供給先である組立メーカーなどが直面する市場ニーズに,自社が保有するデバイスのシーズ情報を適合させることが,重要成功要因である.この重要成功要因を実現するために,デバイスメーカーと組立メーカーとのコラボレーション環境を実現することが情報システムに求められる.本稿では,デバイスメーカーのビジネスモデルを用いて,顧客価値を向上するための評価方法を提案する.この評価方法は,情報システムの価値連鎖マップと価値マトリックスという新しい手法から形成される.今後,この評価方法は顧客価値を向上し経営に貢献する情報システムの新たな企画方法として期待される.