抄録
2005年8月24日に,つくば市と秋葉原の間を最速45分で結ぶ鉄道(つくばエクスプレス, TX)が開通した.このTX 開通のつくば市小売業に対する影響として,同市の人口増加から市場規模の拡大が期待される一方で,消費者の東京・千葉への流出も懸念される.
本論文では, TX 開通の影響という観点からつくば市の市場および消費者行動とその変化についての分析を行い,サービス品質要素の有効性について検証した.最初につくば市,TX沿線の市町村,つくば市住民が利用する東京・千葉の地域を対象にして,小売引力モデルを用いたシミュレーションにより,TX 開通の時間距離のみの変化による沿線住民の購買行動への影響を推定した.次に,TX開通前に実施したアンケート調査により,つくば市の代表的な小売業である百貨店Aおよび東京・千葉の百貨店(ショッピング・センターを含む)に対するTX沿線住民の開通前の購買行動の状況,ロイヤルティ・サービス品質等評価・満足度,TX開通後の購買意向変化について分析を行った.さらに,サービス品質,商品の価格,商品の品質,総合的満足度とロイヤルティの因果関係モデルを共分散構造分析に基づき推定し,ロイヤルティに影響を与える要因について検証し,つくば市小売業の魅力を高めるためのサービス品質要素の重要性について議論した.