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ユーザーの使用段階でのトラブルを未然防止するエラープルーフ化の方法
鈴木 和幸青木 健
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ジャーナル 認証あり

2009 年 39 巻 4 号 p. 479-491

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抄録

本研究では製品開発・設計時におけるエラープルーフを用いたユーザーの使用段階での品質・安全性上のトラブルの未然防止の方法を取り扱う.エラープルーフをより効果的に適用するために本研究では人間の習熟度による行動の違いを表わすRasmussenのSRKモデルと,人間の行動を生体的なモデルで示したCard,Moran and Newellの人間の情報処理モデルに着目し,この2つのモデルより人間の情報処理モデルの過程として「知覚」「認知」「判断」「実行」を考える.また,ユーザーの使用段階での品質・安全性を保つためにPDCAを回す際の三つの視点「発生」「発見」「影響緩和」を取り上げ,収集した事例を抽象化することにより新たなエラープルーフ化の着眼点として①排除,②代替化,③複雑化,④容易化,⑤意識集中,⑥正常検出,⑦異常検出,⑧影響吸収,⑨影響緩和の9つの原理を提案する.以上の人間の情報処理モデルとエラープルーフ化の視点より,品質・安全性上のトラブルの未然防止策の具体的な対策考案のための『エラープルーフの対策表』を作成した.『エラープルーフの対策表』を用いた過去の製品事故事例の対策考案の検証では93%(93件/100件)の事例に対して有効な対策(望ましいと考えられる対策の組み合わせ)を考案することができた.

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© 2009 一般社団法人 日本品質管理学会
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