抄録
近年, 急性期病院では重症度の高い患者の占有割合が増えつつある.そうした中"患者をどのように配置するか"という病床管理の重要性がいわれているが, 具体的方法論については明確にされていない.そこで, 本研究では具体的方法論として患者の状態から必要な病床機能を導出する「患者-病床関係」適切性判断モデルを構築した.本モデルは, "入院診療サービス機能"を構成する要件から患者属性・ニーズ項目と病床関連機能項目を導出し, さらにそれらをつなぐ病床導出思考プロセスから成るモデルである.本モデルに基づいて「患者配置支援システム」を設計し, それを具体的事例に適用した結果, 個々の患者に必要な病床を適切に導出することができ, さらには望ましくない患者配置パターンを回避できる可能性も示唆された.今後は提供看護力や患者の希望などを組み込んだモデルを設計することにより, より質・安全の保証を実現する病床管理が行えるものと考える.