品質
Online ISSN : 2432-1044
Print ISSN : 0386-8230
クオリティレポート
潜在ニーズの抽出を目的とした行動観察方法の研究 -観察する行動の限定がより具体的なニーズの獲得に与える影響-
清水 健嗣中條 武志
著者情報
ジャーナル 認証あり

2020 年 50 巻 3 号 p. 245-251

詳細
抄録
 顧客自身が気づいていない潜在ニーズを把握するためには行動観察が有効である.しかし,行動観察では,一度に大量の情報を処理しながらニーズを見つけ出す必要があり,観察者のスキルに依存する部分が大きい.この問題に対処するため,関谷らは,予め観察する行動を絞ることで潜在ニーズを見つけ出しやすくする限定観察法を提案している.本研究では,観察する行動をいろいろな方法で絞った上で,実際に行動観察を行い,得られたデータに基づいて,行動の絞り方と得られるニーズの関係について明らかにした.結果として,1) 延べ観察時間が同じという条件のもとで,観察する行動の数を絞り込むと,着目した要求品質に関連した新たな要求品質の数や具体性が増す,2) 観察する行動を絞り込む場合には,得たい要求品質に関連している行動をひとまとまりにして選定するのがよい,3) 観察する行動の絞り方と得られる要求品質の関係は観察者が異なっていても同じ傾向にある,ことなどが示された.
著者関連情報
© 2020 一般社団法人 日本品質管理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top