品質
Online ISSN : 2432-1044
Print ISSN : 0386-8230
50 巻, 3 号
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招待論説
部会研究活動報告
研究活動報告
論文誌編
報文
  • 下野 僚子, 秋永 理恵, 水流 聡子
    原稿種別: 報文
    2020 年 50 巻 3 号 p. 234-244
    発行日: 2020/07/15
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル オープンアクセス
     質向上に寄与する力量管理のためには,要員が習得すべき知識や技術を具体的に指摘できる実践的な評価方法が必要である.臨床検査業務において,検査結果に影響を与えるさまざまな要因を知識として抽出する特性要因図を用いた力量評価項目の導出方法が提案されているが,その有用性は検証されていない.本稿では,特性要因図を用いた力量評価項目の導出方法が要員の力量向上にどのように有用であるのかを明らかにした.特性要因図を用いた力量評価項目の導出方法に対し,業務プロセスの記述に基づいて力量評価項目を導出する方法を設定し,両者の適用結果を比較することで有用性の検証を行った.2 つの方法による適用結果を,力量のレベルアップの余地を示すものと,要員間の到達レベルの差を示す2 種類の指標を用いて比較したところ,特性要因図を用いた方で良い結果が得られた.この比較結果については,特性要因図の作成が,業務プロセスの記述よりも検査業務において考慮すべき事項の構造的な整理を支援し,より多くの知識や技術を抽出できているためであると考察された.
クオリティレポート
  • 清水 健嗣, 中條 武志
    原稿種別: クオリティレポート
    2020 年 50 巻 3 号 p. 245-251
    発行日: 2020/07/15
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル 認証あり
     顧客自身が気づいていない潜在ニーズを把握するためには行動観察が有効である.しかし,行動観察では,一度に大量の情報を処理しながらニーズを見つけ出す必要があり,観察者のスキルに依存する部分が大きい.この問題に対処するため,関谷らは,予め観察する行動を絞ることで潜在ニーズを見つけ出しやすくする限定観察法を提案している.本研究では,観察する行動をいろいろな方法で絞った上で,実際に行動観察を行い,得られたデータに基づいて,行動の絞り方と得られるニーズの関係について明らかにした.結果として,1) 延べ観察時間が同じという条件のもとで,観察する行動の数を絞り込むと,着目した要求品質に関連した新たな要求品質の数や具体性が増す,2) 観察する行動を絞り込む場合には,得たい要求品質に関連している行動をひとまとまりにして選定するのがよい,3) 観察する行動の絞り方と得られる要求品質の関係は観察者が異なっていても同じ傾向にある,ことなどが示された.
  • 松本 哲夫, 佐藤 稔康
    原稿種別: クオリティレポート
    2020 年 50 巻 3 号 p. 252-260
    発行日: 2020/07/15
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル 認証あり
     応答が経時データであったり,応答に影響する共変量が存在したりする場合,共分散分析のほか,数量化Ⅰ類を用いた回帰分析,処理前後差を用いた分散分析,通常の分散分析も候補となるが,適切な解析法が何かは確立されているわけではない.
     共変量に処理平均差がないときは共分散分析の使用が適切で,そうでないときは,注意が必要である.
     本研究では,数値例を用いて4 つの手法を比較するとともに,シミュレーションにより,処理効果の検出力や,処理平均差の推定における偏りについて検討し,共変量と応答の処理内相関の大小に対応して,共分散分析と分散分析の使い分けを提案した.
     すなわち,共変量を用いたデータ解析に際しては,理論面に強く拘泥しなければ,共変量と応答の処理内相関が小さいときは分散分析,そうでない場合は,図による考察と,評価指標と 1 との大小関係を参考に,共分散分析を採用すればよいと考えられる.
     処理内相関係数が比較的高く,処理効果が標準偏差程度の大きさになれば,検出力は実務的な要望に十分応え得る.
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