抄録
タグチのT 法は田口玄一博士が開発した,入力に対して出力の予測式を推定するMTシステムの1 つの手法である.また,改良型T法と呼ばれる2つの手法は,T法の単位空間の選択の問題を解消する方法として提案されており,T法よりも優れる精度を示すことが報告されている.一方で,これら2 つの手法の精度の優劣は条件により異なるが,その理由については解明が進んでいない.
本稿では,改良型T 法の優劣が規準化の相違に起因していると考え,まず,改良型T法の1つであるTb法の規準化の性質に関する考察を行う.そして,Tb法は縮小推定量としての性質を有する可能性があることを示す.さらに,Tb法の縮小推定は必ずしも良い推定にはならないと考えられることから,改良型T法とは異なる規準化の方法を3つ提案する.次に,Tb法が実際に縮小推定量としての性質を有するかについてシミュレーションにより検証し,出力の推定値が理論値よりも小さく,ばらつきが安定していることが確認された.加えて,2つの改良型T法と,提案した3つの手法の精度をシミュレーションにより比較し,多くのモデルにおいて,提案した手法の精度は改良型T法と同等もしくは優越する精度を示した.