抄録
航空機製造現場においては,部品の多様性と製造過程の複雑さが課題であり,従来の監査方法では効率性や過去の監査結果の活用に限界がある.これに対して,本研究の提案手法である医療の診察アプローチを参考にしたカルテ監査は,製造現場におけるデータ活用と電子カルテの構築を通じて監査項目の設定を行う.M 社の事例では,「かかりつけ医」としての監査員が工場レイアウト上で監査箇所を共有し,即時データ反映が可能なタブレット端末を活用することで,作業効率の向上と従来監査に対する優位性を確認した.さらに,カルテ監査によって監査項目に位置情報が付与されたことで現場との対話が増え,品質に影響する因子の特定と予防策の検討が容易となった.航空機製造現場においてカルテ監査の有効性を実地検証した結果,今後の製造現場における監査手法としてカルテ監査が有効であることが示唆された.