RADIOISOTOPES
Online ISSN : 1884-4111
Print ISSN : 0033-8303
ISSN-L : 0033-8303
ノート
グリア代謝抑制が99mTc-HMPAOのラット脳内の滞留に及ぼす影響
佐藤 千文網谷 美里今本 奈津美山田 明史桃崎 壮太郎細井 理恵井上 修
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2009 年 58 巻 10 号 p. 649-654

詳細
抄録

グリア代謝抑制時において99mTc-HMPAOの脳におけるretentionが変化するか否かについて,14C-N-イソプロピルパラヨードアンフェタミン(14C-IMP)とのダブルトレーサオートラジオグラフィ法により検討した。ラット右側線条体にフルオロクエン酸(FC,1nmol/μL,2μL)を微量注入し,4時間後に99mTc-HMPAO(74MBq)と14C-IMP(185kBq)とを同時に尾静脈より投与し,5分後に断頭した。迅速に冷凍切片を作成し,イメージングプレートに6時間コンタクトして99mTc-HMPAOのオートラジオグラムを得た。99mTcを減衰させた後,同一切片を再度1週間コンタクトして14C-IMPの画像を得た。画像上の左右の大脳皮質と線条体に関心領域を設定し,それぞれの部位における放射能濃度(PSL/mm2)を求めた。FC注入側の線条体では99mTc-HMPAO,14C-IMP共に対側と比較して約160%に集積が増加した。グリア細胞のTCAサイクルを完全に抑制しても99mTc-HMPAOのretentionには全く影響を与えないことが判明した。したがって,神経細胞において99mTc-HMPAOを極性化させる十分なグルタチオンが存在するものと推測される。各画像を20×25の小分画に分割し,各分画における99mTc-HMPAOと14C-IMPの放射能濃度をプロットした結果,正常部位においても,グリア代謝抑制部位においても両者の間に良好な相関関係を認めた。

著者関連情報
© 2009 by Japan Radioisotope Association
前の記事 次の記事
feedback
Top