グリア代謝抑制時において
99mTc-HMPAOの脳におけるretentionが変化するか否かについて,
14C-N-イソプロピルパラヨードアンフェタミン(
14C-IMP)とのダブルトレーサオートラジオグラフィ法により検討した。ラット右側線条体にフルオロクエン酸(FC,1nmol/μL,2μL)を微量注入し,4時間後に
99mTc-HMPAO(74MBq)と
14C-IMP(185kBq)とを同時に尾静脈より投与し,5分後に断頭した。迅速に冷凍切片を作成し,イメージングプレートに6時間コンタクトして
99mTc-HMPAOのオートラジオグラムを得た。
99mTcを減衰させた後,同一切片を再度1週間コンタクトして
14C-IMPの画像を得た。画像上の左右の大脳皮質と線条体に関心領域を設定し,それぞれの部位における放射能濃度(PSL/mm
2)を求めた。FC注入側の線条体では
99mTc-HMPAO,
14C-IMP共に対側と比較して約160%に集積が増加した。グリア細胞のTCAサイクルを完全に抑制しても
99mTc-HMPAOのretentionには全く影響を与えないことが判明した。したがって,神経細胞において
99mTc-HMPAOを極性化させる十分なグルタチオンが存在するものと推測される。各画像を20×25の小分画に分割し,各分画における
99mTc-HMPAOと
14C-IMPの放射能濃度をプロットした結果,正常部位においても,グリア代謝抑制部位においても両者の間に良好な相関関係を認めた。
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