2012 年 61 巻 12 号 p. 607-612
東京電力福島第一原発事故由来の放射性Csのモモ樹体中への移行とその分配について検討した。放射性Csは,1~3年生の枝に最も多く存在した。樹体において放射性Cs濃度を組織別に調べたところ,樹皮で極めて高く,土壌表層よりも高かった。また,樹皮は重量が少ないにもかかわらず,放射性Cs量としても多かった。材部分での濃度は低かったが,総量としては,樹皮と同レベルであった。なお,果実や葉などの部位を通じて樹体内の2割程度の放射性Csが樹体外に持ち出される見込みである。