RADIOISOTOPES
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総説
気体のW値測定の現状と問題点
佐々木 慎一
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 61 巻 8 号 p. 415-427

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抄録

放射線の発見以来,気体中で荷電粒子により1イオン対を生成するために必要とされる平均エネルギーであるW値の実験的決定は多くの研究者によって為されてきた。このような実験から,多くの気体で確立されたWが得られるようになり,電子や陽子に対してWはほとんど一定値をとることが知られるようになった。しかしながら,いくつかの気体では未だに確立された値がないし,またエネルギー依存性を示すと考えられる重荷電粒子に対するWのデータは極めて少ない現状である。Wに関わるいくつかの重要な性質,例えば粒子の原子番号Zに対する依存性や気体圧力に対する依存性等,は十分に明らかにはなっていない。本稿では,W値の現状について概略し,測定における問題点について議論する。

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© 2012 by Japan Radioisotope Association
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