抄録
筆者らは,腫瘍選択性のあるホウ素中性子捕捉療法(BNCT)が難治性の頭頸部癌の治療に適すると考え,2001年に京都大学原子炉実験所で世界最初に実施した。以来2013年2月まで治療法がない再発した37例に対しBNCTを実施した。全37例の奏効度は完全奏効:19例(51%),部分的奏効:14例(38%)(奏効率89%),増悪:3例(8%),未評価:1例(3%)であった。生存率は4年:42%,7年:36%で,3人に1人は,7年以上生存している。BNCTは,再発患者の生存率だけでなく,機能温存にも寄与する有望な治療法である。