RADIOISOTOPES
Online ISSN : 1884-4111
Print ISSN : 0033-8303
ISSN-L : 0033-8303
原著
異なるエネルギープロファイルをもつ中性子ビームの生物影響の比較
北島 えりか高橋 千太郎木梨 友子久保田 善久岡安 隆一田中 浩基高田 真志小野 公二
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2015 年 64 巻 5 号 p. 291-297

詳細
抄録

中性子ビームの重要な利用法の一つにホウ素中性子捕捉療法(BNCT)がある。近年,加速器を使用したBNCTが計画されているが,その際,がん組織や近傍の正常組織は,装置ごとに異なるエネルギープロファイルを有する中性子ビームを受ける可能性がある。本研究では,エネルギープロファイルの異なる中性子ビームの細胞致死作用とDNA二重鎖切断誘発作用をCHO/K1細胞とその放射線感受性変異株のxrs-5細胞で調べた。細胞致死効果に関しては,放射線医学総合研究所が共同利用に供しているNASBEE(平均エネルギー2MeV)の中性子ビームが,京都大学原子炉実験所の熱・熱外中性子ビーム(KUR-HWF)より効果は高かった。一方,53BP1の免疫染色によるフォーカスアッセイ法で調べたところ,同一照射線量では,DNA二重鎖切断の誘発数に両ビームの間で有意な差は認められなかった。

著者関連情報
© 2015 by Japan Radioisotope Association
次の記事
feedback
Top