2016 年 65 巻 11 号 p. 451-467
福島第一原子力発電所事故では,炉心冷却のために数百トン/日の注水が続けられ,Csなどの放射性物質を高濃度(~106 Bq/cm3)で含む汚染水が短期間で大量に発生し,保管場所の確保も困難な状態となっている。放射能高汚染水は,主に放射性セシウムを含む海水系汚染水であり,極めて大量で高放射能の汚染水の対策は過去に例がないことである。事故の収束に向けた道筋のステップ1において,放射性セシウムを除染する水処理設備が設置され,冷却水として再利用する循環注水冷却システムが稼動している。本システムでは,Cs吸着剤としてゼオライト,CST(結晶性シリコチタネート),不溶性フェロシアン化物が使用されている。今後長期間にわたりシステムの運転を継続する必要があり,高機能性吸着剤の開発,除染の効率化,高度化が緊急の課題とされている。ここでは,CsとSrの選択的吸着剤の吸着特性及び安定固化法及び安全性評価に関わる課題について紹介する。