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排泄物の分析による体内量の算定
藤田 稔岩本 順子
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1961 年 10 巻 3 号 p. 310-321

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抄録

排泄物中の放射性同位元素の量から体内の量を推定するため, 排泄物中の量と体内の量との関係を示す一般式を誘導した。この式は, ICRPの標準人の考え方およびexponential functionmode1を基礎としている。しかしとくに, 不溶性化合物を肺に吸入した場合については現在それらの体外への排除について定説がないので大体ICRPの考え方にしたがったが, 肺から体液中にとり入れられた分については, 可溶性の物質として行動するという仮定をたてた。
この一般式は, 核種が可溶性であるか不溶性であるか, また摂取が長期にわたるか1回であるかに分けて, それぞれの場合について, 排泄量と体内量との関係を表わしている。
日常の放射線管理の基準を与えるいみで, この一般式から, 尿または糞中の放射性同位元素の許容量を求めた。これは問題の器官のうける許容線量率を基準とし, それに対応する体内量を求め, つぎにその体内量から排泄量を計算したものである。いくつかの核種について計算を行ない, 表に示した。計算に必要な常数はICRPの値をそのまま利用した。ただし尿中と糞中に排泄される分配係数については, ほかの適当な文献から求めた。

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