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32P-2, 3-ジフォスフォグリセリン酸の調製およびジフォスフォグリセレート・フォスファターゼの研究へのそれの応用
橋本 隆高橋 貞子吉川 春寿
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1964 年 13 巻 3 号 p. 213-216

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抄録

2, 3-ジフォスフォグリセリン酸 (2, 3-DPGA) の1箇所のみの32Pに標識をしたものを調製した。 (1) C-2の位置の標識: 3-フォスフォグリセリン酸 (3-PGA) と32P無機リン酸 (Pi) とをジサイクロヘキシルカルボジイミドとともにピリジン内で処理し, あとここに生じた32P-2, 3-DPGAをカラムクロマトグラフで分離した。 (2) C-3の位置の標識: 32Pi添加酵母発酵法により, 32P-3-PGAをつくり, これに上と同じ方法で非放射性Piをつけた。
2の位置および3の位置に標識した2種類の2, 3-DPGAに, 兎筋肉からえたジフォスフォグリセレート・フォスファターゼを作用させて, 加水分解でリン酸をはなして見た。その結果, 遊離して来るリン酸はことごとくが2, 3-DPGAの2の位置のリン酸基に由来し, 3の位置のリン酸基ははなれないことがわかった。
溶血液をイノシンおよび32Piとともにインキュベートすると, 2, 3-DPGAに32Pのはいったものが得られる。ふたつのリン酸基のどちらに32Pがはいっているかを, ジフォスフォグリセレート・フォスファターゼを用いて調べて見た。その結果, 32Pはふたつのリン酸基に平等に分布していることがたしかめられた。このことは, ふたつのリン酸基が共通の無機リン酸プールから来るといふことで説明できる。

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