2, 3-ジフォスフォグリセリン酸 (2, 3-DPGA) の1箇所のみの
32Pに標識をしたものを調製した。 (1) C-2の位置の標識: 3-フォスフォグリセリン酸 (3-PGA) と
32P無機リン酸 (Pi) とをジサイクロヘキシルカルボジイミドとともにピリジン内で処理し, あとここに生じた
32P-2, 3-DPGAをカラムクロマトグラフで分離した。 (2) C-3の位置の標識:
32Pi添加酵母発酵法により,
32P-3-PGAをつくり, これに上と同じ方法で非放射性Piをつけた。
2の位置および3の位置に標識した2種類の2, 3-DPGAに, 兎筋肉からえたジフォスフォグリセレート・フォスファターゼを作用させて, 加水分解でリン酸をはなして見た。その結果, 遊離して来るリン酸はことごとくが2, 3-DPGAの2の位置のリン酸基に由来し, 3の位置のリン酸基ははなれないことがわかった。
溶血液をイノシンおよび32Piとともにインキュベートすると, 2, 3-DPGAに
32Pのはいったものが得られる。ふたつのリン酸基のどちらに
32Pがはいっているかを, ジフォスフォグリセレート・フォスファターゼを用いて調べて見た。その結果,
32Pはふたつのリン酸基に平等に分布していることがたしかめられた。このことは, ふたつのリン酸基が共通の無機リン酸プールから来るといふことで説明できる。
抄録全体を表示