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船底塗料中の有機毒物のトレーサー的研究
14C-トレーサー法によるDDTの溶出速度の測定―
沢井 健楊 孝子池田 正道篠崎 善治飯塚 義助
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1966 年 15 巻 1 号 p. 23-26

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抄録

船底塗料中の有機毒物の挙動を明らかにする目的で, 有機毒物としてDDTを選び, 14Cをトレーサーとして, その放射能測定より, DDTの溶出速度の経時的変化を調べた。塗料としては, 14C-DDT (比放射能50μCi/gDDT) 20%を含むビニル系船底2号塗料をすり硝子板に塗布し, 天然海水および水道水の流水中に浸漬した。DDTの溶出速度は, 浸漬期間の経過とともに減少し, 約2ヵ月で一定値0.45μ9/cm2・dayに達する。水道水の場合もほぼ同様な結果を得た。また, 浸漬による塗膜の重量および表面の変化についても調べた。溶出したDDTと塗料の組成比は塗布時の組成比とは異なる。海水中に浸漬した塗膜表面の状態は水道水の場合とは異なり, スポンジ状になる。14Cトレーサー法により, 船底塗料中のDDTの溶出現象を追跡しうることがわかった。

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