1967 年 16 巻 3 号 p. 103-109
15Nをトレーサーとして用い, 二重促進鉄触媒上, 470℃でアンモニア分解反応の動力学的研究を行なった。とくに問題としたのは, アンモニア分解反応のなかの2つの段階, (I) アンモニアの吸着水素原子と吸着窒素原子への分解と (III) 吸着窒素の脱離のうちいずれの段階が律速的かということであった。律速段階の化学量数νrの実測値は1に近く, このことは (III) の段階が律速的であることを示唆している。なお, (I) の段階の速度を (III) のに比べると4~10倍程度大きかった。しかるに前報における430℃のデータではこの比はもっとはるかに大きかった。これらの結果は, 高温においては (I) の段階が律速的になることを暗示している。