1970 年 19 巻 12 号 p. 589-596
203Hg-acetate, 203Hg-chlormerodrin, 203Hg-EDTAの3種の放射性水銀化合物注射液を調製し, 担吉田肉腫結節ラットに静注してその体内分布を経時的に追跡した。これらの水銀化合物は強いタンパク結合力をもっているが, 投与量に対する腫瘍への取込率は, タンパク結合力の強いものほど多かった。ラット主要臓器中, 水銀化合物の経時的減少は, 腎臓を除けば腫瘍が最も小さかった。臨床的に重要な腫瘍/臓器一値, ことに腫瘍/筋肉一値で比ベてみるならば, これらのうちタンパク結合力の最も弱い203Hg-chlormerodrinが最も大きくすぐれていた。