1970 年 19 巻 2 号 p. 73-76
原子炉を用いる中性子放射化法によって微量ウランの235U/238U同位体比を測定する方法を検討した。
ウラン1~10μg程度を含む試料を原子炉で20分間照射したのち約24時間冷却し, 1N塩酸溶液25mlを調製する。235Uの定量にはこの溶液の10mlをとり, 核分裂生成物の99Moをα-ベンゾインオキシム溶媒抽出法によって分離し, γ放射能を測定した。238Uの定量には同じ溶液の10mlをとり, 238U (n, γ) 239Uβ→239Np反応で生成した239Npをテノイルトリフノけノレアセトン溶媒抽出法によって分離し, γ放射能を測定した。同位体比既知の標準試料について235U/238Uと99Mo/239Npの関係を求めておけば, 同じ照射孔を用いた場合には標準試料を同時に照射することなく同位体比を求めることができる。235U10.10%のウラン10μgを含む試料10個について本法を用いて同位体濃度を測定した。10回の測定値の平均は10.1%, 変動係数は3.9%であった。