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低バックグラウンドβ線スペクトロメータによる137Csの定量法に関する研究
―海水中137Csの放射化学分析における137Csと夾雑40Kおよび87Rbのβ線スペクトロメトリ―
鎌田 博
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1974 年 23 巻 12 号 p. 686-692

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抄録

海水中137Csの放射化学分析にさいして, 用いる方法によっては137Csとともに40Kや87Rbが夾雑物として共沈していることが推定される。このような試料中の137Csをできるだけ正確に測定するために低バックグラウンドβ線スペクトロメータの利用を試みた。
化学分離後の測定試料は低バックグラウンドβ線スペクトロメータで測定され, 得られたβ線スペクトルから着目放射性核種の標準試料を用いてストリッピング法により放射性核種を同定し, 137Csは重みつき最小二乗法により解析し定量した。
Ni2Fe (CN) 6-AMP-H2PtCl6法による化学分離後, 低バックグラウンドGMカウンタにより測定する通常法で得られた137Csの値は, 低バックグラウンドβ線スペクトロメータを用いる本法で得られた値に比較して1.15~1.9倍の値であった。これは測定試料中に夾雑している87Rbによるものであり, 本法によれば87Rbが完全に除去されていなくても137Csだけを定量することができる。

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