水試料中の微量元素の濃縮法としては, 一般に蒸発乾固法が利用されているが, この方法では揮発性の元素や, 比較的半減期の短い元素の定量は困難である。そこでこれら定量困難な元素を対象とした前濃縮法として, Fe (OH)
3, Al (OH)
3, PbS共沈法の検討を行なった。目的元素の収率については, あらかじめ放射性トレーサ法により検討し, Fe (OH)
3, Al (OH)
3共沈はpH: 6から, PbS共沈は弱酸性溶液から沈殿を生成させた。
本法を東京都内の奥多摩地方の河川水試料に適用した結果, 約30種の元素の定量が可能であった。そして前処理による汚染も比較的少なく, 放射化後はすべて非破壊法により多元素の同時定量ができるので, 母体からの放射能による被曝も少なくすることができた。
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