1975 年 24 巻 10 号 p. 707-711
シンチカメラと短半減期核種を用いび漫性肝疾患における肝RIアンギオグラフィを施行し, 上田の方法に従い総肝血流量に占める肝動脈性血流量の割合を求めた。肝動脈性血流量比は, バンチ症候群, 肝硬変症に特異的高値を示し, しかも肝硬変症では腹水, 食道静脈瘤など門脈圧亢進症状陰性群に比し陽性群に著しい高値を呈した。また, 従来よりRIコロイドの肝外分布度と肝有効血流量間の関連性について論じられてきたが, 今回の結果でも脾, 骨髄集積度間に正の相関が認められた。RIを用いて肝血流量を経門脈性血流量と経動脈性血流量とに分離, 評価することは, び漫性肝疾患の診断向上のみならず病態変化の把握に有効と思われる。