1977 年 26 巻 10 号 p. 689-695
担吉田肉腫結節ラットを用いて, 54種の元素の体内で無機イオンとなれる簡単な化合物の腫瘍親和性をテストした。その結果, 正2価になる元素と負のイオンになる元素の大部分は腫瘍親和性を示さなかった。in vitroでタンパク吸着率が大きく, かつ腫瘍組織取込率の大きい元素にAu, Hg, Biなどがあり, これらはLewis酸の“軟い酸”であり, これら元素は腫瘍組織中でタンパク等のSとキレート結合していることが推定できた。Lewisの“硬い酸”に属するものの多くは腫瘍取込率と“イオン価/イオン半径 (金属と配位子との結合エネルギーに比例する力) ”とが相関関係にあり硬い酸は腫瘍組織中でイオン結合または酸素ならびに窒素との配位結合により存在していることが予想された。