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放射線治療前後における血清フェリチン測定の有用性について
中村 和義中川 毅信田 憲行田口 光雄
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1982 年 31 巻 7 号 p. 338-342

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抄録

各種悪性腫瘍患者107例について, 血清フェリチン値 (SPAC ferritin kit) の腫瘍マーカーとしての価値を検討した。107例中, 異常高値を示したものは39例で肺がん (52%) , 喉頭がん (67%) , 子宮がん (21%) , 食道がん (50%) 等を含む。放射線治療前後で血清フェリチン値を比較した37例の成績では, 遠隔転移のあった11例中減少したものは1例 (9%) のみであり, 無転移26例中増加したものは5例 (19%) のみであった。術後例11例中, 照射後増加した例はまったくなく, 非手術例26例では減少した例は3例 (12%) のみであった。放射線感受性と判定した5例のうち増加例はなく, 非感受性28例中低下したものは4例 (14%) のみであった。以上から血清フェリチン値は放射線治療効果および経過観察に有効であると考えられた。

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