玉川温泉沈殿物7種の天然放射性核種の検出定量を, γ線スペクトル測定とα線スペクトル測定により行った。
228Ra,
226Ra,
228Thの相対的強度および相互の放射能比は, 試料採取後放射平衡にして測定した娘核種,
228Ac,
214Bi,
212Pbからのγ線ピーク強度ならびに標準試料のモナズ砂からの結果との比較から行った。
234Thトレーサを用いる化学分離法で精製したThのα線スペクトロメトリから
228Thの絶対含有量を求め, これをもとにして残りの試料の
228Raと
228Th含量を見積った結果, それぞれ3~80Bq (81~2160pCi) /g, 2~20Bq (54~540pCi) /gの範囲にあった。これら放射性核種の90%以上は, 北斗石微結晶として存在しており,
228Raと
228Th間の放射非平衡状態が新しい沈殿物には常に見られた。α線スペクトルの再測定から
227Thの存在が認められ, 親の
227Acが北斗石中に存在していることが示唆された。
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