熱螢光の新観察法として, カラー写真撮影法を開発した。薄片状の花崗岩試料を, 60Co線源でγ線照射後, パーソナルコンピュータによる温度測定が可能な加熱体上で, 80℃から400℃まで加熱した。この間の連続写真撮影を, 高感度カラーフィルム4種 (コダック1000, 400, サクラ400, フジ400) で行った結果, すべてのフィルムは, 880Gy (88krad) 以上の吸収線量で, カラーイメージを与えていた。8.4kGy (840krad) の吸収線量試料では, 容易に発光強度や色調の差異に基づく含有鉱物相互の識別など, 面分布に関した情報が得られ, 加熱温度上昇に伴って, カラーイメージが変化していることも観察できた。色調の点からサクラ400が, また感度の点からはコダック1000がすくれていた。そこで, コダック1000で, プレンブリア生成の花崗岩試料を撮影した結果, 天然熱螢光のカラーイメージも観察可能なことが分かった。
