1995 年 44 巻 6 号 p. 379-388
X線照射に基づく日本式双晶 (水晶) 薄片からの熱ルミネッセンスカラー画像 (TLCI) とアフターグローカラー画像 (AGCI) が市販のネガフィルムを用いて撮影できた。AGCIからは, 線量増加に伴い中心部がうすい赤帯を伴う空色から青色に変化しており, 一方周辺部は明瞭な境界を有しながら, 橙色のAGを一貫して示すという興味深い結果を得た。他方, カラーセンター (CCI) 着色は, 中心部に強く見られた。TLCIもまた, 青色中心部とかすかな青色を有する周辺部を与えていた。日本式双晶の生成機構を反映したこれらルミネッセンス画像は, 明らかに電子線マイクロプローブ解析からの不純物Alの分布と相関性を示していた。これらいくつかの放射線誘起画像から, 双晶生成の条件が中心部と周辺部で大きく違っており, 中心部が最初にいったん生成したあと, より高濃度のAlを含む熱水溶液から周辺部が生成したと考えられた。