RADIOISOTOPES
Online ISSN : 1884-4111
Print ISSN : 0033-8303
ISSN-L : 0033-8303
固液系での水素同位体交換反応におけるポリアクリルアミドの反応性の重合度による変化
今泉 洋石井 達哉
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 45 巻 1 号 p. 8-13

詳細
抄録

トリチウム標識ポリアクリルアミド (以後, PAAm (T) と略記) が, HTOとPAAmとの間の水素同位体交換反応 (固気反応) を使って合成された。用いられたPAAmの重合度は, 2800 (および80000) (以後, PAAm2800, (およびPAAm80000) と略記) である。上記の観測で得られたPAAm (T) を使って, PAAm (T) と各種液体有機化合物との間の水素同位体交換反応 (固液反応) が50-90℃の温度範囲で観測された。
上記の観測で得られたデータにA″-McKayプロット法を適用して, この反応の速度定数 (k) を得た。以前得られたPVAでのkも含めて, 得られたkを相互比較した結果, 次の六っの事柄が明らかになった。 (1) PAAm80000の反応性の方がPAAm2800のものよりも大きい。 (2) PAAm2800の反応性はPVA2900の反応性のおよそ0.4倍である。 (3) PAAm2800の反応性の温度依存性はPVA2900のそれの約6倍である。 (4) 各種液体有機化合物に対する反応性は, ほぼ次のとおりである。 (PVA2900) : (PAAm80000) : (PAAm2800) =1: 1: 0.3。 (5) PAAmを固液反応における固体試料として (PVAの代りに) 使用することが可能である。 (6) 本研究で用いた方法は, ある種の物質の反応性を明らかにするために有用であり, トリチウム汚染防護のためのデータを得るためにも有用である。

著者関連情報
© 社団法人 日本アイソトープ協会
前の記事 次の記事
feedback
Top