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多重パルス時間間隔解析 (MTA) 法の理論的なアプローチと壊変系列毎の微量放射性核種の弁別定量への適用
八幡 崇橋本 哲夫
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2007 年 56 巻 7 号 p. 359-369

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抄録

放射線検出器からの出力パルスの発生時間及びパルス間隔の時間情報を多重パルス時間間隔解析 (MTA) 法により解析することで, マイクロ秒, ミリ秒オーダの短半減期核種である214Poと216Poを選択的に抽出し, 放射平衡にあればUやTh系列の定量を行うことが可能である。このMTAの理論式の妥当性を確認するため, 2通りの異なる方法により導いた。その結果, どちらの方法からも同じ理論式を導くことができ, この理論式に基づいた微量放射性核種の定量結果の解釈及びMTA法の検出感度に関する考察を行った。
液体シンチレーションカウンタ (LSC) からの出力パルスの時間間隔をMTA法により解析 (LSC/MTA法) することで, 土壌及び石英試料中の微量放射性核種である214Poと216Poの壊変率の測定を行い, Ge検出器を用いた定量結果と比較・検討した。その結果, LSC/MTA法では10-6~10-7Bq/gオーダの214Poと216Poが定量でき, かつ放射平衡関係に基づいて親核種である238Uや228Thの定量も可能であることが確認できた。更にMTA法における214Poと216Poの検出感度は, 測定器の検出効率だけでなく放射線パルスの弁別方法にも大きく影響されることが明らかとなった。特に検出器からの出力パルスをα, β線由来のパルスに弁別し, パルス問の相関関係を測定することで検出感度を向上させることができることがわかった。

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