2024 年 28 巻 1 号 p. 136-143
持続可能な鉄道の実現には保守業務の効率化が不可欠であるが,実効性のあるデジタル技術の導入に不可欠となる既存業務の系統横断的な整理と共有はなかなか進んでいない.四国旅客鉄道株式会社では鉄道総合技術研究所との共同研究により既存保守業務の実態調査を全系統で実施し共有と整理を進めている.本研究はこのうち電力・信号・通信を含む電気系統の実態調査結果として,転てつ機・軌道回路の検査に電気系統全体の4割以上の人工を要すること,検査結果,異常時対応,常時監視データなどがそれぞれ記録・保管されていること,などの特徴を明らかにした.また,保守業務省力化のためのデジタル技術として検査記録を活用したアセットマネジメントによる検査周期適正化を展望として示した.