2024 年 28 巻 1 号 p. 128-135
持続可能な鉄道の実現には保守業務効率化が不可欠であるが,実効性あるデジタル技術の導入に必要な既存業務の系統横断的な整理と共有はなかなか進んでいない.四国旅客鉄道株式会社では鉄道総合技術研究所との共同研究により全系統での既存業務の実態調査と結果の共有と整理を進めている.本研究はこのうち保線系統の実態調査を対象とし,調査結果として,徒歩巡回に検査の4割以上の人工を要し,つき固め等の軌道状態維持に要する人工が不足傾向にあること,デジタル技術への置換えでは徒歩巡回で同時に実施される措置の考慮が必要となること,などの特徴を明らかにした.また,他系統の調査・検討結果も踏まえた保守業務省力化の方針を示したうえで実現のための具体的なデジタル技術活用の展望を示した.