洛北史学
Online ISSN : 2436-519X
Print ISSN : 1345-5281
論説
律令制的技術労働力編成の形成とその背景
櫛木 謙周
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 19 巻 p. 1-23

詳細
抄録
本稿では、「技術者」の源流が七世紀に集中して現れる歴史的背景について考察を加え、池溝・交通関係の開発と宮殿・寺院の造営とが相互に密接な関係をもちつつ、王権の「天下」統治基盤の整備事業として語られてきたことに注目した。このような開発と造営を行う主体としての王権を技術面から支え、膨大な労働力を組織する上で、技術労働力の編成が重視されたのである。そのような技術労働力の上層部は、才伎長上などとして官僚制的システムに組み込まれたと考えられる。一方で公民制的支配原理と対応した形では、匠丁制として整備されたが、それが制度化されるにあたっては、飛驒工の制度や仕丁制との関係が考慮されたことを論じ、都城のほか、地方では、中央と関係が深い所で用いられたことも明確になった。
著者関連情報
© 2017 洛北史学会
次の記事
feedback
Top