洛北史学
Online ISSN : 2436-519X
Print ISSN : 1345-5281
論説
中国における揺銭樹仏像とその意義
後漢・蜀漢時代の仏像受容をめぐって
黄 盼
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2018 年 20 巻 p. 71-94

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抄録
揺銭樹は四川地区を中心に発見される特殊な副葬品である。揺銭樹にはしばしば仏像の造形をともなうことで、多くの注目を集めてきた。本稿は揺銭樹仏 像の図像構成によって、A型とB型に分け、A型は後漢中期にのみ使用された。B型はBIとBIIを分けられ、BIは後漢中期に出現、蜀漢まで続いて、最も流行した型式である。BIIは蜀漢に出現したBIの変形である。中期には頂部と幹両方が存在し、多様な型式が創出されたが、後期以後には幹部分に定着し、形も統一された。揺銭樹は冥銭の性質を備え、銅資源が豊かで、高度な技術をもち、財富を求める願望がつよい四川地区を中心に使用された。そのため、仏像は揺銭樹装飾モチーフの一つに過ぎず、その粉本はガンダーラ地区の仏伝、おそらく梵天勧請の場面をあらわした可能性が高い。胡人の仏教信仰の影響をうけて、揺銭樹の図像のなかに仏像が取り入れられていったのである。
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