洛北史学
Online ISSN : 2436-519X
Print ISSN : 1345-5281
論説
後宮十二司の解体
蔵司・書司を中心に
岡島 陽子
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 24 巻 p. 41-57

詳細
抄録
先行研究では後宮職員令に規定された十二司は、内裏空間への男性官人の進出と蔵人所による内廷官司掌握によって、宇多朝から村上朝の間に解体され、内侍司を中心に再編されるとされている。しかし男性官司と女性官司の職務関係の実態と解体につながる要因については解明されてこなかった。そこで本稿では 神璽・天皇御服など物品管理を行う蔵司と経典や楽器などの管理を行う書司という保管型官司を取り上げて職掌の分析を行った。すると二司とも男性官司が管 理する物品を分収・保管するとされた職掌については判然とせず、早い段階で職務停止があったと考えられる。一方、書司の楽器管理など男性官司の職掌には なく、分収を伴わない職務については継続して行われた。蔵司の職務は内侍・糸所といった女官への吸収が確認されるとともに、蔵人所への代替も想定される。書司は図書寮との職務の連関が見られたが、十世紀には蔵人所の指揮に組み込まれた。
著者関連情報
© 2022 洛北史学会
前の記事 次の記事
feedback
Top