抄録
歴史学を含む人文学研究の基盤や作法が、いまや根底から覆りつつある、という認識から、歴史学の変革は如何にして可能かを論じる。まず、デジタルアーカイブや人文情報学の動向を整理するなかで、歴史学の基盤があまり意識されることなくデジタル上に移行しており、さらに多様なデータがすでに公開されていることを示す。その上で、様々に方法を駆使し、さらに意識変革をともないながら、デジタル技術を歴史学の日常にし、学自体の価値を正面から押し出す方向へ転換することを提起する。このなかで、社会的課題の解消への貢献が可能であることを示すことで、歴史学の影響力の回復を目指し、現在歴史学や人文学が直面している課題を少しでも解決できるのではないか、と提起する。