洛北史学
Online ISSN : 2436-519X
Print ISSN : 1345-5281
特集「近代東アジア史像をめぐって」
「朝鮮中立化構想」の一考察
日清戦争以前の清韓関係に着眼して
岡本 隆司
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2006 年 8 巻 p. 3-27

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抄録
日清戦争以前の「朝鮮中立化構想」は、すでに多くの研究がある。けれどもこの構想を成立させた経過、構想じたいが経た変遷、構想がけっきょく実現しなかった動因については、なお再考の余地が残っており、本稿はいずれにも、清朝と朝鮮のあいだに存在した「属国自主」の関係が、大きく作用していた事実を明らかにした。まず井上毅の発案が「属国自主」に対抗するものだった。やがて中立化実現に関連し、日清の朝鮮共同保護案も浮上してくるが、ともに清韓双方の容れるところとはならなかった。日清・露清がそれぞれ、朝鮮問題に関する了解に達するに及び、清韓の「属国自主」とあいまって、「勢力の均衡」を成り立たせ、朝鮮中立化がめざした機能の代替をなすに至ったのである。
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© 2006 洛北史学会
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