日本信頼性学会誌 信頼性
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鉄道構造物の耐震設計
棚村 史郎室野 剛隆
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2000 年 22 巻 8 号 p. 688-696

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抄録

平成7年の兵庫県南部地震では, 鉄道構造物も新幹線の高架橋などが甚大な被害を受けた.その後, 精力的に被害原因に関する調査・解析が進められた.これらの教訓から, 耐震設計においては, 内陸型地震動によって発生する大きな加速度を考慮すること, 部材の安全性評価においても破壊モードを考慮すること, 応答値の算定にあたっては表層地盤の動的性質を考慮する必要があることなどが分かった.また、地震が従来の設計で考慮されていたものよりも飛躍的に大きくなること.さらに内陸活断層による地震は再現期間が数百年以上の長期にわたることを考慮すると, 構造物の設計においては部材および基礎の持つ変形性能(ねばり)を評価し, 損傷は許容するが崩壊しないことを基本とするのが合理的であることも容易に推定される.そこで, 鉄道構造物の新しい耐震設計法では, 損傷制御の観点から目標とする構造物の損傷程度(耐震性能)を定め, 設計地震動に対する構造物の応答を動的解析により算定し、それに基づいて耐震性能を照査する方法が導入された.本報では, この新しい耐震設計法の考え方の概要について紹介する.

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© 2000 日本信頼性学会
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